淡色ドロップス





胸の奥がキューッとすぼまるような感覚に幾らかの戸惑いを覚えた。


夏は伏し目がちな瞳を上げつつあたしに問いかける。



「小池はどう思ってんの」

「、」


言いかけて訂正した言葉に
胸がズキン、と傷んだ。

小池じゃなくて志乃でいいよって
結構な頻度で言ってるのにな。


そう言うとき夏はいつも生返事ばかりで名前を呼んでくれたことは一度もない。


あたしはとっくに“夏”で
慣れてしまっているのに。


告白は夏の方からなのに


欲張っていくのは
あたしの方なのが…

…スゴく悔しかった。



「別に…


あたしは、どっちでもいいよ」



そんないらぬ悔しさや、プライドから出た言葉は、思いの外投げやりで、当のあたしでさえ吃驚するほどだった。







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