淡色ドロップス
ハッと、我にかえるが時は遅し。
夏の顔は、とてつもなく冷たかった。
心臓の鼓動がドクン、と強く脈打つ。
「俺ら、一緒にいる意味ある?」
「、」
どっからそんな低い声出てるのってくらい、とても冷めた声量だった。
どんどん夏の背中が遠ざかっていく。
横たわっていた自転車はもうない。
やってしまった…。
どうしてこう、上手くいかないの。
今の言葉は怒って当然だ。
それは分かるけど、でも、じゃあ夏はどうなのさ。
込み上げていく色んな感情はあっという間に頂点に達し、あっという間にあたしを動かしたのだ。
スクバを掴むとダダッと
一目散に土手を駆け上がった。
―――バンッ
「い、っ! …てー…」
そうして、その薄汚れた背中のシャツめがけて、躊躇いもなくスクバを投げつけたのだ。