淡色ドロップス
なにか言おうと口を開くと同時に、涙が頬に零れ落ちた。 夏はそれを見て吃驚したように目を見開かせる。
「な、「夏はどうなのさっ!」
小さな声は、すぐにあたしの叫びに近い声によってかき消される。
あたし自身スクバを投げつけてまで何を伝えたいのか、よく分かってはいなかった。
でも、どうしてか悔しくて
どうしてか苦しくて、
いてもたってもいられなかった。
「は、え、なにが」
「告白してきたのは夏の方からなのに、全然そういう態度とらないじゃんっ、本当にあたしのこと好きなの!?」
こんな安い青春ドラマみたいな台詞を自分が言う日がくるなんて…。
想像もつかなかった。
今だってなに言ってんだあたし、と思いながらも止まらない口に我が身を預けつつあった。
その間も涙は滝のように流れだす。
「っひく、ズルイ…っ、最初は夏のほうがあたしを追っかけてたのに、今じゃ立場が逆で…っ、あたしが追っかけないと、夏は、どーでもいい顔して、素通りするじゃん…!」
「待てまて。泣くな話が分からん、勝手に決めつけんな、!」
落ち着けと、あたしを宥める夏を見てると、あたしがいかに余裕がないのかを思い知らされる。