淡色ドロップス
おずおず、とトイレから出ると阿久津くんが向かいの壁に立って待っていた。
「き、気付いてたの?」
「まあ、なんとなく」
「じゃ頭痛いっていうのはこのために?」
そう聞いたら
阿久津くんは少し笑った。
(え、な、なんで)
「うん。だって月本さんすっごい切迫詰まってる割りにすっごい躊躇ってるから。見てたら我慢出来なかった」
わー、わー、はっず。
ていうか、阿久津くんとまともに話すのコレが初めてだけど、なんか抱いてるイメージと全然ちがう。
男子としかつるまない人で、女子と話しても素っ気ないんだと思ってた。
思いがけず知った阿久津くんの優しさと気遣いに胸が熱くなる。