淡色ドロップス






「お兄さんは? この子が痴漢されているところを見たんだよね?」


その発言にカァアと頬が熱くなる。

み、惨めすぎる。


「はい」

「っふ、ざけんな!
いい加減にしろよお前! 」




──ガッシャーン


興奮したサラリーマンが立ち上がるとその勢いで椅子が倒れた。


え、え、っ、なんて戸惑っている間にサラリーマンは大学生の胸ぐらを掴むとガッと頬を拳で殴りつける。



止めに入る駅員さん。

興奮するサラリーマン。

椅子に座ったまま固まるわたし。



そんな中で大学生の人だけが、冷静な顔でサラリーマンを見据えていた。




・・・・



結局サラリーマンは暴行事件として警察を呼ばれ、痴漢したことをようやく認めた。



「色々ご迷惑お掛けしました」


駅の事務所から出た瞬間頭を下げる。







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