淡色ドロップス







目を閉じて浮かぶのは大学生の顔で

駅のホームに立てば無意識にキョロキョロと探ってしまうし、大学の前を通るだけで此処に居るのではないかと思ってしまう。


自分でも分かってる、重症だ。



「はあ〜…」

「美緒(みお)ー?
まーた大学生ー?」


事情を全て知っている
カナちゃんが私の顔を覗き込む。

私は締まりのない頬に手を当てもう一度溜息を吐いた。


「う〜。ヤバイ、本気でヤバイよカナちゃん。私の頭の中あの人でいっぱい…」

「そんなにカッコよかったの〜?
美緒のタイプだったとか?」

「や、違うの。タイプ関係なしになんか引き込まれちゃうっていうか、気になっちゃうっていうか…」

「ふ〜ん。つまりはビビッときたんだね。一目惚れかあ」



呑気な声をだして言うけど

わたしにとっては一大事だ。




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