淡色ドロップス




そもそもこないだまで恋も胸キュンも皆無だったのにいきなりドラマチックな出来事が起こったものだから、色々付いていけない。



「もう一度会えないかなあ〜」

「そんなにカッコいいんだ」

「うん最高」

「わたしも見てみたい」

「でも名前も年もなにも聞いてないからどうしようもないんだよね…」

「運命ならもっかい会えるって」



いつ? 来週? 来月?

そんなに待てないよ。

机に突っ伏しながら
足をジタバタさせる。

異性のことをこんなに考えるのも初めてな私は、とても落ち着きがなかった。

ソワソワ、チラチラ

視線がどうにも定まらない。


「挙動不審かっつの」

「ああ、ダメだカナちゃん。次大学生に会ったら私絶対飛びつく」

「こっわ!」

「だって会いたくて会いたくて会いたくて、気持ちばっかり先走ってるときに、偶然再会するんでしょ!? もうなにそれ脳内ビックバン起こすわ!」


あっはっはっ!なんて大袈裟に笑うカナちゃんだけど、私は至って真面目だ。


会いたい、顔がみたい、声が聞きたい、話がしたい、もっと知りたい。


そんな想いでいっぱいな一日だった。





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