淡色ドロップス
わたしは頷く代わりにハニかむ。
ドキドキ、
まだ胸のあたりが騒がしい。
「友だちが、コウって呼んでた。
ついでに苗字も聞いておけば良かった」
「でも一歩前進じゃんっ!
次会えたとき、思い切ってLINE交換してみたら??」
「え、ムリ無理!
断られたら恥ずかしいもんっ」
顔の前で大袈裟に手を振りながら拒むけど、ちょっと有りかも、なんて思ってしまった。
これからちょっとずつ
あの人のことを知っていって
あわよくば付き合えたらな、なんてことを考えもしたけれど、この出会いは思わぬ方向で繋がっていくことを、
わたしは予想すらしなかった。