淡色ドロップス





大勢の視線(主に女子)

小声でのヒソヒソ話(主に女子)

そのどちらもが瀬野センセーの顔に冷や汗をかかせる。


担任に生徒との交流を持つよう言われたようで、出るに出れない様子。


「美緒、行ってきな。
アンタくらいしか近づけないよ」

「じ、じゃあカナちゃんも一緒に来て」

「やだ」



理不尽…!


たじろぎながらも
意を決して席から立ち上がる。


「せ、センセー
憶えてますか私のこと?」


ドキドキ。

知らないフリされたらどうしよう。

みんなの視線よりも、そっちの不安の方が気持ちを占めていた。



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