片恋の君
幼なじみ




いつだってそう。


真っ直ぐに見つめるその瞳を

私は直視できない。



見ないふりをして

気づかないように


視線をそらしてしまう。









ーーガヤガヤ…



「じゃあ、卒業まで残り一週間。問題のないのようにな!!」


そう言い残して担任の先生は教室をあとにした。

そんな言葉なんて思い出話に花を咲かせてるみんなには届くはずもなくて。


私は、そんなクラスメイトを横目に窓の外を見ていた。


曇り空の下で桜の花が蕾を咲かせている。


卒業式なんてこなければいいのに。


仲の良い友達と高校が別になるのが淋しいのも、一つの理由。


もう一つの理由は…






「ナツ!」




「…あ、祐介」





その声に一瞬、クラス中の視線が集まったような気がした。


それが恥ずかしくて、直ぐに私は席を立ち、私を呼ぶ彼の元へと向かう。



「どうしたの??」


「いや、一緒に帰ろうかと思って」




そんなことのためにわざわざ来てくれたんだ。


なんて、心が少しあったかくなった気がした。


でも。それはつかの間。




「香取さん!!」


落ち着いたような棘のあるような、そんな声が私の背から聞こえる。


ゆっくり後ろを見ると、中山さんがいた。





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