片恋の君


「香取さん、ちょっといい??」


色白肌に大きな潤んだ瞳。

誰もが憧れるクラスのアイドル的存在な中山 香織さん。


コクリ、と頷いて、私は彼女のあとについていく。





「こないだの話なんだけど…」




モジモジとはずかしそうにこちらを見てくる。


こないだの話。

それを思い出すだけで、胸が苦しくなる。


10日ほど前。

私は今みたいに中山さんに呼び出された。


それまではただのクラスメイトで挨拶をするくらいの仲だったから、呼び止められた時は驚いた。


今も決して仲が良いわけじゃないんだけど、前よりは話している。


主に、彼の話で。



「祐介の、ことだよね…」


「うん」



祐介…


私の幼馴染の葉山 祐介。


それを知っていて、彼女はあるお願いをしてきた。


祐介と中山さんの仲を取り持つこと。


それをお願いされた時から、私はずっとモヤモヤとしている。


胸がざわつく。

祐介を見るたびに。


祐介はそこそこ身長もあるし、人当たりも良い。

顔は特別良いわけじゃないけど、一部の女子にすごく人気があるのはなんとなく知っている。


告白だってされた話も聞いてたし。


それまでは、こんな気持ちにならなかったのに。




今さら…




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