大好きなんだってば!
付き合ってるんだよね?
ジリリリリリッ

目覚まし時計の煩わしい音で目が覚め、時計を見ると7時半を過ぎていた。

「…え?7時半?!嘘でしょ…!遅刻するし!」

慌てて制服に着替えてリュックを背負い、階段を駆け下りる。

「彩夏?まだ行ってなかったの?遅刻、しちゃうわよ~。」

リビングに行くとお母さんが朝のニュース番組を見ながらのほほんとお茶を飲んでいた。

「お母さん!なんで起こしてくれないかなぁ?!新学期初日から遅刻しちゃうじゃんよ!」

「あらやだ、お母さん、何度も起こしに行ったわよ?」

「…あぁ、もういい!行ってきます!」

私は岡部 彩夏。今年の春で高校二年生の16歳です。

私には、好きな人が居る。好きな人、というか…一応、彼氏なんだけど。

「岡部?」

「わっ!奏太くん!?おはよう。奏太くんも寝坊したの?」

「お、やっぱ岡部だ。オハヨ。ばーか、俺は寝坊なんかしねえよ。」

私の隣を颯爽と歩くこの男の子は、神谷 奏太くん。

高校一年の時に同じクラスになって、一緒に過ごすうちに惹かれていって、クリスマスに告白をした。

でも、なぜか私は今まで一度も奏太くんに「好き」と言ったことがない。

何度も言おうとするんだけど、いつも奏太くんは「信じねえし」の一点張り。

最初は照れてるだけだと思ってたけど、どうやらそうじゃないみたい。

「…ねえ、奏太くん。」

「んー?何?」

「私達、付き合ってるんだよね…?」

突然の私の問いかけに奏太くんは立ち止まる。私も立ち止まり、静かに答えを待つ。

「付き合ってんじゃねえか?」

「…じゃあ、好きって言ってもいい?」

「…信じて貰えなくてもいいんだったらいいけど。」

今日は少しだけ機嫌が良いのか、好きと言うこと自体は許可を貰えた。

一歩前進、なのかな…。

「良かった!じゃあ、早速。…奏太くん、大好きだよ?」

「……岡部って前向きだよな。こんなの、普通の女だったら耐えられねえと思うぜ?」

「奏太くんは、どうして信じようとしないの?…過去に何かあった、とか?」

「…学校着いたから。じゃあな、岡部。俺、屋上に居るから昼飯は一緒に食おうぜ。」

私の問いかけには答えずに、奏太くんは私の頭をぽんぽんと撫で、屋上に向かっていった。

「……奏太くん…」

言葉にしなくても伝わるなら、こんなに悩んだりしない。

でも、私達はまだ、手も繋いだことがないんだよ?

言ってくれないと、不安になっちゃうんだよ…。分かって欲しいのに…。

「…でも、諦めないもんね。やばっ、もう完璧に遅刻だ……!」

☆つづく☆
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