あの日、言いたかったこと。


「ヒナくーん!!
一緒に帰ろ!!」


帰りのホームルームが終わって帰りの支度を整えていると、教室の入り口の方から大きな声で呼ばれた。


「杏……と、悠斗」


恐らく杏に引っ張られてきたであろう悠斗が杏の横に立っていた。

そんな悠斗は何かを探すように教室の中を見回していた。

俺にはその探し物が何なのかすぐに分かった。


「宮山ならすぐに部活に行ったけど」

「バッ……ちげぇよ。
何で宮山が……」

「アイツ、良い奴だな」

「知らねぇっつーの……。
……良い奴だけど」


お?

悠斗がそんなこと言うなんて珍しいな。


俺と杏は顔を見合わせて小さく笑った。
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