あの日、言いたかったこと。

外に出て、俺達はまずある場所へと向かう。

七年間、本当に必要な時にしか通らなかった場所。

ずっと避けていた場所。


あの……横断歩道。


「…………………」

「…………………」


この場所はそんなに変わってない。

ここに来ると……思い出す。

……あの時の……光輝の姿を――


「っ……………!」


……一番思い出したくない、最期の姿。

逃げちゃダメ……そう、思ってるのに……


「……日向」


悠斗の声でフッと我に返る。

隣を見ると、悠斗は心配そうな顔で俺を見ていた。


「大丈夫か……?」

「あ……あぁ……大丈夫……」


クソッ……。

ちゃんと向き合うって決めたのにっ……


「日向……」

「……悪い。
やっぱ……キツいわ……。
あの瞬間がずっと頭の中に残ってて……」


あの時……光輝が轢かれた、正にその瞬間を見たのは……俺だけだった。

悠斗は見ていない。

俺はずっとあの日のあの光景に苦しめ続けられていた……。

だけど……俺はいつまでもこのまま苦しみながら生きていくのか?

そんなの……

そんな生き方………。


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