あの日、言いたかったこと。

「あ、桜井だ」


健太が教室の入り口の方を見ながら声を出した。

悠斗は宮山と楽しそうに笑いながら話していた。


悠斗は正式に部長になった。

部のために、そして自分自身のために頑張るって言ってた。


どこかで見ている光輝にまた褒めてもらえるぐらいすごい選手になってやる……って張り切ってたっけ。


「あ………」


じっと悠斗を見ていたら、悠斗と目が合った。


悠斗は小さく口元を緩めると、こちらに近寄ってきた。


「日向、今度の日曜空いてる?」

「日曜?空いてるけど……」

「宮山ー!
メンバー見つかった!」


……は?

メンバー?


「おー、マジか!
……あれ?でも、逢沢ってサッカーできんの?」

「できるよ。
小学生の時やってたし。
そこそこ上手かったし」


そこそこかよ……

ってか……


「サッカーって……?」

「日曜にお遊びで試合することになったんだよ。
宮山の中学の時の部活仲間と」

「お遊び?」

「そ。
部員にも声かけたんだけどさ、あと一人足りなくて。
いや~、暇そうなお前がいてよかった」

「暇じゃねぇし。
忙しいし」


ってか、まだ行くなんて言ってな……


「ヒナ君、サッカーやるの!?」


何か来た……。

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