あの日、言いたかったこと。
アイスを入れたビニール袋を下げながら玄関のドアを開ける。
乱暴に靴を脱いでリビングのドアを開けると……そこは天国だった。
涼しい……。
さっきまでの灼熱地獄とは雲泥の差だ。
「日向、おかえり」
ソファの方へ視線をやると、横になって扇風機の風に当たりながらテレビを観てる姉ちゃんがいた。
……豚になるぞ。
と、心の中で呟いてからビニール袋を手渡す。
「はいよ。アイス」
「ありがとー!
さっすがあたしの弟!」
こういう時だけ俺を褒める。
普段はバカとかアホとかしか言わないクセに。
「あれ、日向。
アイス食べないの?」
「後で食う」
そう言いながら俺は極楽なリビングから出ていった。