あの日、言いたかったこと。

「杏……?」

「ユウ君!!」


悠斗は小走りで杏に近づいてきた。

その顔はとても驚いていた。


「何でお前が……」

「また戻ってきたの。
それでね、新学期からここに通うんだよ」


そうか……と呟いてから悠斗はチラッと一瞬だけ俺の方を見た。

俺は特に口を開くこともなく、ただ黙って二人の会話を聞いていた。


「ユウ君、カッコよくなったね~。
ヒナ君とは大違い」


おい。

それは俺がブサイクだって言いたいのか。

いや……別にイケメンではないけどさ。

普通だよ、普通。


「杏は変わってないな」

「そうかな?」

「性格とか、昔のまんま」


あぁ……確かに昔から杏はこんな感じだったよな。

いつも明るくてさ。
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