あの日、言いたかったこと。

「ヒナ君とユウ君だって見た目はともかく中身は変わってないよね」


中身……。

その瞬間、俺と悠斗の目がパッチリと合った。

二人とも目を合わせたまま顔をしかめる。


「……変わったよ」


……俺がポツリと呟いた。


「もう……昔には戻れない」


あの頃みたいには……もうなれない。

あの事件がなければ……今でも昔のようにしていたかもしれない。

でも、現実は……


「……もう、前の俺達には戻れないもんな。
光輝がいた……あの頃の俺達には」


悠斗が空を見ながら静かにそう言った。


どうしたって何かが足りないと感じてしまう。

その“何か“がはっきり分かっているから苦しくなる。

それを奪ってしまったのは俺達だから。


だから……


「俺……もう帰るわ」


なるべく……一緒にいたくない。

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