あの日、言いたかったこと。
俺と悠斗
夏休みが終わりに近づくにつれ、俺の補習授業も終わりまであと数回になっていた。
まぁ、ほとんど聞いてなかったけど。
次のテスト、また赤点かな。
つーか、意味分かんねぇし。
何だよ、ベクトルとか。
知らねぇよ。
そんなことを思いながら俺はジュースを買おうと自販機に小銭を入れようとした。
………が
「あ………」
横から伸びてきた小銭を持っていた手と手がぶつかってしまった。
慌てて謝ろうと顔を上げると……
「………………」
「………………」
相変わらずムカつくぐらいイケメンな悠斗がいた。
悠斗は部活が終わってもう帰るのか、制服を着ていた。
「……俺が先なんだけど」
「俺の方が先だし」
……お互いに譲らない。