あの日、言いたかったこと。

「つーか、杏。
バイト中に喋ってていいのかよ」

「大丈夫だよ。
お客さん来ないし」


確かに……客は俺達以外誰もいない。


「ここ、あんまり人来ないんだよね。
暑い中真昼間に毎日のように来るの、ヒナ君だけだよ」

「暇人だからな。日向は」

「うるせぇな」


ってか、この店大丈夫なのかよ……。

ちょっと心配になった。


「あ、そうだ。
ユウ君、結局どうするの?」

「え?あぁ……そうだった。
えーっと……」


悠斗はレジ横のホットスナックのコーナーを見ると、ある一点に目を止めた。


「んじゃ、唐揚げ棒で」

「はーい」


悠斗の注文を聞いて、杏は唐揚げ棒を取り出し始めた。

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