あの日、言いたかったこと。
「お前、ここの唐揚げ棒好きだよなー……」
昔から悠斗はこればっかり食ってた気がする……。
「美味いじゃん」
「いや、美味いけどさ。
飽きねぇの?」
「飽きない。
むしろ俺はこれだけで生きていける」
「どんだけ好きなんだよ……。
将来メタボになるぞー」
「俺はお前と違ってちゃんと運動してるからな」
「何だとっ……!」
俺達がこんなバカみたいな言い合いをしていると、よこからクスッという小さな笑い声が聞こえてきた。
俺達が揃ってその方向を見ると、杏が目を細めて笑っていた。
「杏?」
「二人とも変わらないね。
昔から」
杏はそう言ってクスクス笑い始めた。
「よかったー。
この前会った時は二人とも口聞いてなかったから心配だったんだ」
「「あ…………」」
俺と悠斗は顔を見合わせた。
そういえば……。
話さないとか言っておきながら……この前の食堂での件といい今日といい……
思いっきり会話してるじゃねぇか!