あの日、言いたかったこと。
友達だった
夏休みなのにも関わらず、俺は制服を着て学校に来ていた。
理由なんて1つしかない。
そう、それは……
「えー、x=3であるから……」
……数学の補習だ。
意味の分からない呪文を聞かされ、眠たくなる。
まったく……こんなもんやって何の意味があるんだっつーの。
いつ使うんだよ、こんな公式。
絶対将来必要ないだろ。
……と、学生なら誰でも一度は思ったことがあるであろうことを頭の中で呟く。
はぁ……つまんねぇの。
ため息をつき、黒板から目をそらす。
その時……俺はふと窓の外を見た。
ここから見えるグラウンドでは様々な部活がこの暑いのに元気に活動している。
よくやるよなぁ……暑いのに。
あれは陸上部……んで、野球部にアメフト、ラグビー。
そして……
……ある部活の団体を発見して俺は思わず顔をしかめた。
「やっぱ……嫌いだわ」
俺がそう呟いた瞬間、その部活の部員の一人が俺に気づいた。
アイツ……
久々に見たアイツの髪色は相変わらず明るい栗色だった。