あの日、言いたかったこと。


……帰り道のことだった。

俺は黙ったままの悠斗に声をかけた。


「……なぁ」

「……何だよ」

「……何でおじさん……俺らのこと探してたんだと思う?」


俺がそう聞くと、悠斗は少しうつ向きながら口を開いた。


「そんなの……俺だって知りてぇよ」


……そうだよな。

うん……。


「でも……」


更に言葉を続けた悠斗の方を見た。

悠斗は何か考えているような顔をしていた。


「俺達に会いたかったんなら……何で家に来なかったんだろうな……」

「あ………」

「俺らの家、知ってるんだから……何か用があるなら真っ先に来なかったんだろう……」


そういえば……そうだ。

……おじさんは何を思ってあそこに行ったんだろう……。


「気になるな。
……でも……」

「おじさんに会う勇気なんて……ないよな」


俺はオレンジ色になりかけた空を見ながら……小さくため息をついた。

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