あの日、言いたかったこと。
「それで?
サッカー部のエースで女子にモテモテな桜井君がこの俺に何の用ですか」
「それ、嫌味のつもり?
相変わらずアホだな、バカヒナは」
「誰がアホでバカだ!!」
ったく……本当にムカつくな、コイツ。
「昔はよく言ってただろ。
バカなヒナタ、略してバカヒナ」
「俺の名前はヒナタじゃねぇ、ヒュウガだ!」
マジでムカつく……!
「……それと、昔の話はするな」
俺がちょっとトーンを変えてそう言うと、向こうは少し表情を固くした。
「……余計なこと、もう思い出したくねぇんだよ。
ただでさえ毎年辛いっつーのに……。
……お前だってそうだろ。
だから学校で俺に会っても知らんぷりするんだろ。
……それでいいんだよ。
その方が楽でいい。
だからもう……」
“俺に話しかけるな”