あの日、言いたかったこと。

廊下に出ると、たくさんの生徒達が楽しそうに騒いでいた。

俺と悠斗は教室から少し離れ、人通りの少ない廊下にやって来た。


「で?何だよ」


廊下の壁に寄りかかりながら悠斗がそう聞いてきた。


「お前さ、何かあった?」


俺が単刀直入に聞くと、悠斗は少し顔をしかめた。


「……何かって、何だよ」

「サッカー部の部長辞退したこと……とか?」


俺がそう言うと、悠斗は鋭い目で俺を睨んできた。

これは……何かある。


「……別に。
大した理由じゃねぇよ。
部長なんて面倒くせぇだろ」

「監督に頭下げてまでやりたくなかったのか」


悠斗の目つきが更に鋭くなった。


「……お前に関係ねぇだろ」


これ以上探るな。

目でそう訴えていた。


「そんなくだらねぇことが用事だっていうんなら、俺もう戻るぞ」

「くだらない?」

「くだらない。
最高にくだらない」


そのくだらねぇこと、一番気にしてんのはお前だろ。

俺は心の中でそう呟いた。

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