あの日、言いたかったこと。

「……お前には関係ねぇだろ」

「……逃げないっつっただろ」

「は?」

「もう逃げるのはやめようって言ったのはお前だろうが!!」


俺の大声が教室に響く。

杏が慌ててそんな俺を落ち着かせようとする。


「ヒナ君っ……学校ではやめようよ……。
みんな見てるよ……」

「いいんだよ、そんなの!
……悠斗。
お前、何のためにサッカーやってんだよ」

「っ……………」


悠斗はうつ向き、何も答えない。

悠斗の横では事情を何も知らない宮山がオロオロしている。


「……お前がサッカー始めた時、最初は正直言って理解できなかったよ。
あんなことがあって、何でって。
でも……すげぇって思ってた」

「…………………」

「悠斗はちゃんと向き合ってるんだ……すげぇって……本当に思ったよ。
……けど、結局逃げてんじゃねぇか。
逃げんなら……そんな半端な気持ちなら、最初からやるんじゃねぇよ!!」


……俺がそこまで言うと、悠斗はギュッと両方の拳を力強く握りしめた。


「お前に……」

「え?」

「っ……お前に、俺の何が分かるっていうんだよ!!」


そう叫びながら……悠斗は俺の胸ぐらを掴んだ。


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