あの日、言いたかったこと。

「もう……やめてよ……」

「杏……?」

「そんなこと……言わないでよ……。
死ぬべきとか、生きるべきとか……。
そんなのっ……。
命を賭けて二人を守ったコウ君の死が無駄になるようなこと、言わないでよ!!」


杏の言葉に俺達はハッとする。

杏は泣きながら俺達に訴え続ける……。


「死ぬべき人間なんていないよ……。
みんな、生きるべきなんだよ!
ヒナ君も、ユウ君も……コウ君だって。
っ……コウ君は生きててほしかったんだよ。
二人に、生きてほしかったの!!」


生きて……。

俺達に……?


「だから助けたんだよ……。
ヒナ君とユウ君が大切だから……。
酷いことされても……それでも、二人のことが大好きだったからっ……!!」


俺達のことが……


「なのにっ……二人がそんなこと言ってたら……コウ君、報われないじゃん……。
コウ君は二人に苦しんでほしかったんじゃない!!
ずっと……ずっと、幸せに生きていてほしかったんだよ!!
罪悪感とか、そんなの……感じてほしくなかったんだよっ……」

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