あの日、言いたかったこと。

……杏は泣き崩れた。

俺達はそんな杏を黙ったまま見つめる……。


光輝が俺達を助けたのは……俺達に生きててほしかったから……。

あんな酷いことをしたのに……

そこまでして……俺達に……。


俺達は……ずっと、光輝の死を無駄にしていたのか……?

あの日から……ずっと……。


「っもし……あの日、コウ君だけが助かって……ヒナ君とユウ君がいなくなってたら……コウ君は幸せに生きてくことなんてできなかったよ。
コウ君は……本当に二人のこと、大切に思ってたから……」


光輝……。


ふと気がつくと、悠斗の顔も杏の顔も……涙でぐちゃぐちゃだった。

きっと、俺も同じで……。


……光輝は、俺達にこんな思いをしてほしかったわけじゃない。

光輝は……。

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