ソットボーチェ~あなたの声で~
恋愛相談
「ただいま~」

誰もいない部屋に響く自分の声。

「ふぅ…」

ソファーに座り、溜め息を吐いた。

「それにしても、似てたな…」

隣に座った男の人の声を思い出していた。

あの優しい声。

全て包み込んでくれそうな。

「吉川凌さん…、なわけないか」

わたしは小さな手におさまるゲーム機を持ち、ゲームを始めた。

もちろん、吉川凌さんが出ているゲームだ。

最近の乙女ゲームは、フルボイスになっていたりする。

一人暮らしだから、ヘッドフォンは必要ない。

だけど、ヘッドフォンをすると耳元で囁いてるように聞こえるのだ。

「んはぁ♪」

一人だから、にやついて声を出しても大丈夫。

「ふはぁっ♪」

甘い声に多少暴れることもある。

―ガコンッ…!!―

「いったぁ~…!!」

そしてソファーから落ちることもある。
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