ソットボーチェ~あなたの声で~
もちろん裏方の作業もあるから、ボーッとしてるわけじゃないけど。

でも何もない時はメモ帳に、絵なんか描いたりして。

あとは、ずっと喋ってる。

いいなと思うかもしれないけど、暇だと時間が経つのが遅い。

さっきも言った通り、ノルマがある。

暇なのは、最悪なんだ。

「ねぇ、萌花ちゃん。好きな人はできたぁ?」

これ、華さんの口癖。

暇さえあれば、聞いてくる。

「いえ、わたしが好きなのは凌さんと光輝くんだけです」

華さんは、知ってる。

わたしがゲーム好きなことを。

最初は驚いていたものの、華さんに凌さんの声を聞かせると、「なかなかステキな声だね!」と言ってくれた。

好きな人が、褒められるのは嬉しい。

「ちょっと、萌花ちゃん。お客さんがいないからってニヤけすぎ」
「へっ!?ご、ごめんなさいっ!!」

どうやら、自然とニヤけていたらしい…。
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