ソットボーチェ~あなたの声で~
「もし、聞けないんだったら会った時に、たくさん話してみたらどう?ムコウから、連絡先聞いてくるかもよ?」
「えぇっ!?ム、ムコウから……」

この、ほんの少しの時間で想像してしまった。

……、それだけで顔が熱くなるのが分かった。

「萌花ちゃん、顔真っ赤」
「えっ!?あっ、あの、お仕事頑張ってくださいっ!!」

石川さんの言葉に耐えられなくなり、深々と頭を下げ裏口へと走った。

「がんばってなー!」

お客様が誰もいない、店内。

だからか、石川さんは少しだけ声を出し、わたしの背中に勇気をくれたような気がした。

「でも…」

他の社員さんや、華さんも売り場にいたよね…。

恥ずかしいっ!!

一度、通路で止めた足。

けれど、また恥ずかしさが増して、すぐさまロッカーで着替え外へと飛び出した。
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