双子の物語
俺って、こんなに佐奈のこと好きだったか?
それに、今の俺たちに、兄弟と言う肩書きは全くなくて、只の同級生の男女。
そんな雰囲気だった。
この時間が、長く思えて仕方ない。
「そ、そうかも……?」
佐奈は、下を向きながら、そう答えた。
「………っ…!?」
ゆっくりと顔をあげた佐奈は、俺を見るとビックリしている。
そりゃそうだ。
だって、俺は静かに涙を流していたから。
こんなこと、二度とないも思ってたのに、叶ってしまった。
その驚きと、嬉しさで涙が止まらない。
そんな俺を見て、あたふたしている佐奈。
「だ、大輝っ?…どうしたの?」
俺の泣いている理由が全く分からないと、佐奈は、少し動揺していた。