双子の物語
俺は、袖で涙を拭き取り、佐奈の目を見た。
「なぁ、本当にか?」
「う、……うんっ!」
そう答えた佐奈を、きつく抱き締めた。
もちろん、佐奈は、驚いていたが、そんなのお構いなしだ。
「それなら、付き合ってみる?……俺たち」
「えっ?……」
「付き合っても、俺たちは、兄弟ってことになってる。だから、秘密にだけどな。もちろん、親にもだ。」
俺は、抱き締めたまま佐奈に言う。
この体勢からは、佐奈の顔は見えない。
だから、どんな顔をしているのかわからない。