双子の物語
「ただいまー。」
……。
「あ、帰ってきたわね。」
お母さんが玄関までいってお父さんにお帰りといっている。
ついに帰ってきた……。
「ど、とうしよっ。大輝……」
「ん?佐奈、そんなに心配?」
「当たり前だよっ!だってそんなの……大輝は違うの?」
大輝の様子を見て、私だけが焦っているように見える。
「そう見えてるんなら、俺、相当演技はだな……。緊張してるに決まってるだろ。見ろよ俺の手……」
……あ、ホントだ。
小刻みに、震えていた。
「ふふっ……」
こんなときに、不謹慎かもしれないけど、ちょっと嬉しかった。