双子の物語
ただ、その時は必死だった。
大事な人が、いなくなっちゃいそうで……。
香織は、直ぐに帝王切開をして、子供を取り出す手術をした。
でも、香織は、助からなかった。
体力に限界が無かったとか……。
何で……好きな人との赤ちゃんが出来て……でも、旦那さんは死んじゃって、それにっ、子供が生まれたのに、香織まで……。
ああ。
子供の名前を聞いといてよかった。
『先生……香織たちの赤ちゃん、私が育てます。お願いします!』
私は、そう頼み込んだ。
『……わかりました。でも、あなたも子供……』
……そうだ。私にも今お腹の中に子供がいる。
『大丈夫です。私が、育てます』
それでも、いい気った。