社内恋愛のススメ
『決別』



諦める。

それって、すごくつらいこと。


大切な何かを、手放さなければならないのだから。



後悔するかもしれない。

死ぬほど、悔やむかもしれない。


それでも、手放さなければならない時がある。

大切なものを、手放さなければならない時がある。



だけど、1番後悔するのは、このままの状態でいること。


あやふやな関係のまま、あの人の部下でいること。

曖昧なまま、この関係を続けていくこと。


だから、決めたんだ。



自分の気持ちをぶつけるって。

全てを聞くって。


いいことを聞けるだなんて、思ってない。

期待してない。


それでも全てを聞くと、そう決めた。

もうその覚悟は、出来ている。






社会人になってから初めて出した熱は、あれから3日間もの間、下がらなかった。


熱が下がらなくて、つらい思いをした。

けれど、私は1人ではなかった。


熱が下がるまでの間、長友くんは私が住むマンションにマメに顔を出してくれていたのだ。



「あー、今日はマジで疲れた!」

「長友くん、どうしたの………?」

「部長、有り得ないんだぜ。俺の貴重な休憩時間、返せよ!」


会社での愚痴を溢しながらも、長友くんは熱で動けない私の看病を引き受けてくれた。



まるで、そこにいるのが当たり前であるかの様に。

そのくらい、長友くんは、私の部屋に馴染んでいた。



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