社内恋愛のススメ
「長友くん!」
うなだれて座る彼の名を呼び、駆け寄る。
コンビニに灯る明るさで、薄っすらと照らされる長友くんの姿。
私の声に反応して、長友くんがゆっくりと顔を上げた。
「………有沢。」
やっぱり、元気がない。
覇気もない。
つぶらな瞳が、虚ろな光を宿す。
再び下を向いた彼は、肩を震わせていた。
「長友くん、どうしたの?何があったの………?」
長友くんを気遣いながら、私はそう尋ねる。
柔らかい声音で、優しく。
震える肩に、そっと手を置いて。
何かがあったのは、確かみたいだ。
ダークブラウンの短い髪が、ライトに照らされる。
風に揺れるその髪を、私はただ呆然を眺める。
長友くん。
長友くん、何があったの?
次の瞬間に聞こえたのは、何故か笑い声だった。
「ぷっ………、ははは………っ!」
ん?
どうして、笑ってるの?
堪え切れなくなったとばかりに、長友くんが笑い出す。
さっきまでの長友くんが、嘘みたい。
あんなに落ち込んでいた彼は、どこに行ってしまったのだろう。
何だろう。
腑に落ちない。