社内恋愛のススメ



(今まで気付かなくて、ごめんね………。)


長友くんの気持ちに気付かなくて、ごめんね。


長友くんの存在の大切さを、今更ながら知った。



あぁ、この人が好き。

好きだ。

この人が愛おしい。


私、この人のことが大切なんだ。



どんな言葉で、長友くんにそのことを伝えようか。

どんな言葉を選べば、この気持ちの全てを伝えられるのだろうか。


きっと、どんな言葉でも無理だ。



1度だけでは、伝えきれない。


でも、言わなければ始まらない。

何も、長友くんには伝わらないから。



「有沢が、あの男を忘れられないなら………もう何も言わない。何もしないから。」

「………、長友くん。」

「俺のこと、突き飛ばしていいから。」


長友くんの口から飛び出す、自虐的な言葉。

長友くんらしくない、暗い声。



長友くんの葛藤。

長友くんの決意。


それが、ちょっとだけ覗く言葉。



長友くんは、そんなことを思っていたんだね。

そんなことを考えていたんだね。


私が、まだ上条さんのことを好きだとーー……

上条さんのことを愛していると、そう思っているんだ。




確かに、あの人のことを愛していたけど。

大好きだったことは、変えられないけれど。


私が、あの人との未来を選ぶことはない。



私は、上条さんとは違うんだ。


思い出は思い出。

過去は過去。


割り切るしかないのだから、変えてみせる。



受け身のままでいるなんて、嫌だよ。



「長友くん、私、何とも思ってない人の家まで、のこのこ付いて行ったりしないよ?」


そこまで、落ちぶれてない。

そんなに軽い女じゃない。



こういうことは、好きな人とだけ。

本当に好きな人とだけ。


愛を伝えるのは、本当に好きだと思った人にだけだ。



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