社内恋愛のススメ
気持ち悪い。
吐きそうだ。
逃げようとしても、無理矢理押さえ付けられて、口内を荒らされる。
熱い舌が、惑う私の舌を追いかけ回す。
「大丈夫だよ、すぐに気持ち良くなる………。」
上条さんはそう言って、私を諭す。
だけど、分かってる。
気持ち良くなんてならない。
それだけは、絶対に有り得ない。
パンツまで剥ぎ取られて、身に付けている物全てを奪われる。
探ろうともせずに、いきなり深く入れられる指。
痛い。
突き刺さる様に、掻き乱される。
「う、う………っ、やあ………っ。」
吐き気と戦いながら、必死に抵抗を続けていた。
抵抗を止めてしまったら、私が私でなくなる。
長友くんを好きな自分が、私の中から消えてしまう様な気がして。
そんな私を嘲笑う様に、上条さんは勝手に行為を続けていく。
「はぁ………っ、実和………。」
上条さんの乱れた息だけが、真っ白な壁にぶつかる。
私が出来ることは、願うことだけ。
(お願い、早く終わって………。)
歯を食い縛って、耐えるだけ。
「く………、う………っ、やぁ………!」
愛のない行為なんて、ただのスポーツだ。
これはスポーツなんだよ。
そう割り切れたら、楽なのに。
楽になれるのに。
そんな風に思えない。
私には、どうしても思えないよ。
割り切るなんて、無理なんだ。
そう思った瞬間、涙が溢れた。