社内恋愛のススメ



「やめ………て………止めて………、もうお願い………。」

「無理だよ、実和。それは、君が1番分かっていることだろう。」


止めて。

止めて。

お願い。


心が、体が壊れてしまう。



ねぇ、私、何か悪いことをした?

何かいけないことをした?


私はただ、自分の気持ちに正直に生きたかっただけ。

嘘をつかないで、真っ直ぐに歩いて行きたかっただけ。


長友くんの隣を、笑顔で歩きたかっただけだよ。



それは、いけないことだったのだろうか。


許されないことだったのだろうか。








ボロボロになったワンピースの上から、コートを羽織る。

全てを覆い隠す様に、長いコートで汚れてしまった体を隠す。


着替える気力さえなくて、そうするだけで精一杯だった。



破れたストッキングは捨てた。


もう2度と履けないと、分かっていたから。



「………っ、ひ………っ、やだ………もう…………。」


止まらない嗚咽。

止まらない涙。


頭の中をエンドレスに流れる映像。



ワンピースを引きちぎる上条さんと、上条さんの手から必死に逃げようとする私。


縛られた両手。

裸にされて、濡れてもいないのに貫かれて。


上条さんが動く度に、自分の口から漏れ出る声が堪らなく嫌だった。



「実和、好きだよ。」

「うっ、んん……っ、はぁ………っ。」


激しく動く度に、体だけは反応して。

乾いた場所が、次第に潤って。


汚い。

こんな自分、汚い。


汚らわしい。



好きでもないのに、感じるの?

体だけは、反応するの?


おかしいよ。

そんなの、おかしいじゃない。



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