社内恋愛のススメ



海斗くんや紗南ちゃんと、同じ。

表と裏がない。

一直線で、真っ直ぐな心。


面白半分で、こんなことを聞いてるんじゃない。

からかいたくて、言ってる訳じゃない。


そんな紗織に、私は情けない声でこう答えた。



「だって、今日、休みだし。」

「そ、そうだけど………。」

「休みの日は、休む為にあるんだよ?だったら、休まなくちゃ!」


私はここぞとばかりに、胸を張る。



間違ってはいないはず。


休みは、自分の為にある日。

自分を休める為にある日。



他の人は、自分を磨く為に使うのかもしれないけれど。

大切な彼氏の為に使うのかもしれないけれど。


特定の相手もいない私。

予定もない私。


だったら、その休みをどう使うかは、自分次第。


だって、そうじゃない?



「相変わらず、実和はマイペースだね。実和らしいけど。」


20年来の付き合いである、幼なじみの紗織は苦笑い。



マイペースは、今に始まったことではない。


要領はいいけれど、それはまた別の話。

楽天的でマイペースだと、よく他人に表現される。



その通りだと、自分でも思う。


そんな自分が、嫌いって訳でもない。

先ほどの言葉の続きを、紗織が口にした。



「私はね、実和に幸せになって欲しい。実和にはマイペースな所があるから、そんな実和を支えてくれる人がいたらいいなって………。」


優しく優しく、そう諭す紗織。

紗織の言葉に、私は目を閉じてみる。



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