クレイジーサドくん。


「対した事じゃない、じゃねーだろ?」

教室の入り口で和花ちゃんと話す、なんて人の邪魔になる事をしてしまっていた私達に話かけてきた声は聞きなれた大好きな声だった。

『けんちゃん?どうしたの!』

先輩と同学年の彼がわざわざこの教室に来たと言う事は私か和花ちゃんに用があるって事だ。


「さっき如月が来た時これ忘れて言ったから」


彼の手元には和花ちゃんとオソロいで買った鍵ケース。
家の鍵をすぐ無くす私にわざわざ買ってきてくれたんだ。


「あっ、わすれてたー!ありがとうーって!そうだ…健斗が言った通り!対した事じゃないじゃないでしょ!」


まだその事を言うのか和花ちゃん。
ただ抱きつかれただけだからなんと言えない。
海外に遊びに行けば挨拶でキスというのに慣れてしまってるのか抱きつくとかはあまり程度はない。


「沖田になにもされなかったか?」

優しい声と頭を撫でる暖かい手の温もり。
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