ピンキーリング【短編】
歩。
車はやっと目的地に着いた。
外の景色を眺める。
「お母さん、
あたし、先に拓ちゃんのところに行ってていい?」
「いいわよ。
じゃあ、お母さん車とめてくるわね。」
お母さんが後ろを振り向いて言った。
あたしはドアノブに手をかけ、車のドアを開けた。
新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込む。
お母さんは、そのまま車を止めに行った。
あたしは、拓ちゃんのところへ向かって歩き出す。
あたしが歩くたびに、木の枝などが音をたてる。
「………拓ちゃん…」
あたしは、
やっと、
愛しい人のもとへ着いた。