ピンキーリング【短編】
楽しい時間はあっというまで、もう夕方になっていた。
電車の時間まであと少しあったので、近くの海に来ていた。
なんか……
海ってカップルみたいじゃん!
1人で興奮してしまうあたし。
そんな妄想をふりはらうために、あたしは裸足になって海に入った。
夏に入る海は、足だけとはいえかなり気持ちいい。
そんなあたしを、吉田が笑いながら浜辺から見ていた。
「吉田もきなよー!」
そう叫ぶと、吉田が何やら考えだした。
「吉田…?」
バシャバシャしていた足をとめる。
「あぁもう!」
そう言って吉田が海に入ってきた。
「なんだ、吉田も入りたかったんじゃん♪」
そう言いながら、吉田がくる方に向かって水をかける。
吉田はあたしの前にくると、いきなり海水で顔を洗い出した。
……??
あたしの頭の上に?が浮かぶ。
「うしっ!」と言って、濡れた顔を両手でたたく。
そして、水をかけようとしていたあたしの腕をつかんだ。