SKY~空~

「さっそくですけど…理沙さんは兄貴が好きですか…?」

え…

私は……

頭の中には
笑っているあの人が浮かんだ…

だから…

『…私を笑顔に出来るのは雷斗しかいないって思ってた…だけど,違ったの…ルウは…私をもう一度笑う事を思い出させてくれたの…』

「昨日の連れですか…?」

『うん…』

「そうですか…だったら,もう兄貴の事は忘れて下さい」

『え…?』

「兄貴は…もう,兄貴じゃないんです…理沙さんといた兄貴はもういないんです」

「でも…これだけは伝えておきます…兄貴は理沙さんに出会えたから…今の兄貴がいるんです…兄貴は理沙さんが好きです…」

と,言って日向くんは行ってしまった

ねぇ…
雷斗…

私…笑えてる?

溢れてきそうな
涙を堪えて,店を出た

もうすぐ…
家につく…
泣かない…
泣かない…

あっ…
家が見えてきた…

「理沙…」

『ルウ…』

ルウは家の前で
待っててくれたんだ…

『ルウ…グスッ』

ルウを見た瞬間
我慢していた涙が溢れてきた

「理沙…」

フワッ

一瞬にして,私はルウの香りに
包まれた…

ルウの腕の中は
暖かくて,私に安心感を与えてくれた

同時に…涙が止まらなくなった

ルウは私の頭を撫でながら,

「頑張ったな」

と,言ってくれた

私はその時,確信したんだ。






“私…ルウが好きだ”ってね…
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