等身大の愛唄
「杏栖、お昼食べてなかったもんね~。……って、あっ!!!!ダぁ―――リ~~~~ンっ♪」



千秋は人だかりの多い中、自慢の彼氏を見つけたらしく、あたしの横から失踪した。


も、もの凄い勢いっ……。

そして、あたしは1人街の中をプラプラ歩く。


日が落ちて、そろそろ電車が混み合う時間帯になる。

あたしは、混み合った電車…いわゆる、満員電車が苦手である。


だから、急いで駅に走る。



「ハァ…ハァ…―――?」



駅に近づいて行くに連れて、ギターの音色と歌声が聞こえてくる。


……あれ?
この声って……



あたしは、知っている。
この声の無視が誰だか、知っているんだ。


段々と、小走りになっていく。


その中で、「まさか、そんなはずはない」と疑う心と「この声は、きっとアイツ」と確信を持つ心。

今のあたしの心境は、複雑。


だって、あたしの目の前には……



「やっぱり……」



ギターを弾いて、歌っている龍哉。

その周りには、チラホラ人が居て。


あたしはその場で、ずーっと聞いていた。
龍哉の歌を。


そして、ずっと見ていた。
龍哉の輝いている姿を。





「で?こんな時間まで、何してんだボケ。」

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