stand up!!





どれだけ寝ていたのだろうか。
誰もいないはずの更衣室から、人の気配がする。



薄く目を開き、壁にある時計を見ると16時を少し過ぎたところだった。
更衣室を利用しているのは、浩の他はみんな事務職員であり、定時の17時まではまだ時間がある。



また、滝沢がサボりに来たのかと思い、薄く目を開いたまま、目だけを移動させる。



すると、ロッカーの方に人影が見えた。
しかし、その人影は滝沢よりはるかに肥えていて、背が高かった。


「だ、誰だ…」口に出さずに、とっさに考えた。
あの人影はかなり高い確率で、男性のものだ。
なぜ、ここにいるのだろう?



数時間前の小早川少佐とのもめごとを思い出した。



「お前の着替え姿など見たいやつは、一人もいない!!」



ま、まさか…
覗き魔ならぬ、不審者ですかー!!!!
浩は寝たふりを続けながらも、内心はパニック状態だった。



落ち着かせようと、不審者に気づかれないように深呼吸をする。
しばらくすると段々落ち着きを取り戻し、3日前に滝沢に言われたことを思い出した。



「そう言えば、最近着替えの写真を撮られたっていう事が起こっているらしいわね」



「そうなの!?」



浩は持っていたアイスを床に落としてしまった。
慌てて取り上げ、食べようか迷っていると「汚いからやめなさい」と、凛子が制した。



「あんたは大丈夫そうだけど、一応気を付けなさい。更衣室の鍵を閉めて、着替えるのよ!」



浩は返事を返すものの、聞き流していた。






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