stand up!!
あたしは肩の痛みに耐えながら、男の所持していたカバンの元へと手を伸ばした。
あと少し、というところで肩の激痛とともに視界が反転した。
「それは、渡せないよ…。」
カバンを渡さぬように必死な男の顔が、空をバックにしてあった。
あたしの体は、男に組み敷かれたような形になってしまった。
男に掴まれた手首が痛い。それよりも、肩の方が悲鳴を上げている。
肩さえ負傷していなければ、こんなヤツに手間取らなかったのに!
くそ小早川!!!!!!!!!
「どうして、あたしのものを奪った!!!??」
あたしの迫力に肩を一瞬震わせたような気がした。
「安城さんの未来のためだよ。」
男が口を開いた。
「未来のためだと?そんなのあたしの勝手だ!!!お前に何が分かるっていうんだよ!!!」
足をバタつかせるが、一向に男から逃れられなかった。
「安城さんはここより、キラキラした場所の方がお似合いだよ。その方がお父様もお喜びになります。」
お父様だと?
「おい、お前。くそ親父の使いだな?」