stand up!!
「はい、そんな顔しない!」
凜子は片手で浩の両方の頬をつまんだ。
浩は驚いたような顔で、凜子の手から逃れようとしている。
「でも、あんたにはあんたのいいとこがあるんだから、別に女とか男とか関係ないでしょ」
つまんだ手を離すと浩の頬は少し赤くなっていた。
凜子は浩のポニーテールの頭を撫でた。
「ありがと、滝沢」
「うん、よろしい」
浩はすっかり怒りを忘れ、胴着に着替え始めた。
今まで来ていた訓練服は、土埃や汗まみれになっていた。
いつもこんな厳しい訓練に耐えている浩は、すごい人であると時々感心する。
「そう言えば、浩。あんた神伸びたねー。切らないの?」
頭のてっぺんでポニーテールにしているのにも関わらず、肩甲骨あたりまで髪が届いていた。
「まぁ、切ろうかって悩んでんだけど…。これが唯一のあたしが女であることの証明にしよっかって!」
浩はそういうと帯を絞め、頬を両手で2回叩く。
「いってくるね」
そう言った浩はかっこよかった。