16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「何するの……っ」

「……」

「ねぇ!」

「……」



なんで何も言わないの?

逃げようにも名良橋君がドアを塞いでいて逃げられない。

名良橋君、もしかして怒ってる……?



「名良は――」

「付き合ってるわけ、高野と」

「……え?」

「病院で抱き合ってたじゃん」

「それは……」



理由を言えば、病気のことも秘めるべき想いも知られてしまう。

私は目線を泳がせ、必死に嘘を探した。

だけど、その間を名良橋君は意味に捉えたようで。



「やっぱり、そう言うこと」

「違う!私、誰も好きじゃない!」



自分で言って、驚いた。

誰も好きじゃないなんて、こんなに簡単に言えるんだ。

こんなに簡単に嘘吐けるんだ、私。



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